概要

外観(c) Ryota Atarashi

旗竿敷地に建つ12戸からなる集合住宅。

集合住宅において多様なプランを持つことは、様々な住み手のニーズを満たすことができて意味があるが、同時にコストもかかるものである。
敷地にレベル差のある本件においては、施工コストが通常よりもかかることが分かっており、複雑なプランとすることは難しい状況であった。
そこで、住戸の平面計画を極力シンプルにして、住戸のバリエーションをもたせることができるかを検討した。

その結果、共用部を中心として田の字に4つの住戸を対称的に配置し、2方向に採光・換気の取れるL字型のLDK・居室空間と、 水廻りの位置関係を共通化した。
その上で、各住戸の間に意図的に空いた空間をつくり、そこに各方向から接続し、吹き抜けや天井の低い床下収納とすることで、 共通の部分+各住戸ごとに違う拡張スペースの、バリエーションプランを持たせることにした。
最上階、地階については外部拡張スペースとしてルーフバルコニーやドライエリアを配置し、キッチンカウンターは住戸によって壁付け、アイランドと使い分けることで、シンプルな対称形のプランがそれぞれ別の空間へと変化した。

中央の共用部は各住戸の玄関を経由してインナーバルコニーへと繋がり、住戸が対称に配置されたことにより南北に貫通する形となっていて、開放的な空間となっている。

平面計画だけをみれば、手を抜いているように見える簡潔さだが、実際の空間はそれを感じさせない差異化された住戸群となった。

date:
2018.12.26.Wed
categories:
奥沢の集合住宅
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